本文へスキップ

セント・ルカ産婦人科では不妊治療と一般婦人科疾患(お産以外の女性疾患)の診療を行っています。

電話でのご予約・お問い合わせはTEL:097-547-1234

(電話受付時間:月・水・金曜日 14:00〜17:00)
〒870-0823 大分県大分市東大道1-4-5

プレコンセプション・妊活セミナー 卒業生のお話

<2024年5月25日開催>

 今日は、セント・ルカの卒業生として、自身の経験について、またその中で自分が大切だと感じたことなどについてお話ししたいと思います。

 私は、10年前に一回り年上の主人と結婚しました。私は子どもが好きで子どもは当初より希望していましたがなかなか授からず、気にはなっていたものの仕事が忙しいこともあり、病院に行くというところまでなかなかいきませんでした。ただ、自分よりも後に結婚した後輩が、1人目、2人目の出産をしていく中、だんだん焦りも出てきて、やはり何かあるんだろうと思っていました。街中で、妊婦さんを見かけたり、小さい子どもさんを連れた人を見るといいなと思ったり、どうして自分じゃないんだろうと思うこともありました。主人は、当時子どもは絶対ほしいという感じでもなく、不妊治療については、なかなか言い出せずにいました。病院に行くきっかけになったのは、子宮頸がんの検診を受けた際、担当の医師が「子宮が少し傾いているな」と、ポツリとつぶやいたことでした。精密検査の指示はありませんでしたが、不妊治療も含め一度きちんと検査したいと考え、自分で色々と調べセント・ルカ産婦人科にたどり着きました。また、子宮の検査と併せて不妊治療をしていきたいことを主人にも伝えることができ、2人で初診の日を迎えました。ただ、その日の検査で子宮筋腫があることがわかりました。自覚症状は特になかったので驚きましたが、まずはその手術を受けることからとなりました。
 手術に向けての検査で、筋腫の位置などから開腹手術をすることになり、手術日が決まりました。手術までの間、新患教室に夫婦で参加しました。自分自身、それまで不妊症についてはほとんど無知であったことを痛感しました。治療方法についても、夫婦でよく話し納得した上で受けることの大切さに気づかされました。
全身麻酔での手術は初めてのことで不安も大きかったですが、無事に終わりました。痛みもありましたが、コロナが入ってくる少し前であったため、入院中、家族が面会に来てくれており、それが支えになっていました。また、手術の時に子宮内膜症があることなどもわかりました。
 退院後も順調に回復し、3ヶ月後の検査では問題なく、ようやく不妊治療に入ることになりました。主人は20年以上喫煙をしていましたが覚悟を決め、かなりつらかったようですがたばこをやめてくれました。自身の健康面についても振り返り、食事面などについて改善に努めました。私の場合は、体外受精(顕微授精)からのスタートでした。排卵誘発剤の注射をしばらく打ってもらい、後日採卵を行いました。初回の移植は希望を持っていただけに、着床していなかったと知らされた時はとてもつらかったです。まだ、1回目だからと気持ちを切り替え、数ヶ月後にまた採卵し移植しましたが、やはり着床しませんでした。今度こそはと期待していただけにつらくて、帰りの車の中で泣いていました。改めて、不妊治療の難しさを感じました。

 その後、染色体検査の提案があり、夫婦で相談し受けることにしました。結果は、主人には異常はなく、私に染色体異常があることがわかりました。これも、不妊の原因の一つだったのかとすっきりした反面とてもショックでした。ただ、可能性はゼロではないので少し時間はかかりましたが、前向きに考えることにし治療を続けました。着床の可能性を高めるため、移植の前に別の検査(PGT−A)を受けることにしました。絶対成功するという保証もありませんが、できることをやっていこうと考え臨みました。しかし、グレードが低かったり、うまく育たずに検査に出せなかったり、ようやく出せても「異常あり」の判定でした。そういったことが何度か続くと、体だけでなく精神的にもまいってしまい、このまま続けてもダメなのではと思うことも増えました。主人も、私の体のことを心配してくれていましたが、「ありがとう」がなかなか出ず会話も減り気まずい雰囲気になることもありました。自分の母と姉には、不妊治療をしていることを伝えており、特に母には自分の思いやつらさなどをよく聞いてもらっていました。聞いてくれる相手がいることで救われた部分もあります。
また、その頃はコロナウイルスや災害などで、突然命を失ったというニュースをよく目にしていて、家族と過ごす時間、今の生活が当たり前ではないんだと改めて気づかされました。母ともそういった話をする中で「精一杯やってみて、それでも授からなかったら、夫婦二人の生活をとことん楽しもう。日々、感謝を伝えよう。」と思えるようになりました。

 そして一昨年「新たな気持ちで、もう一度チャレンジしてみよう。」と、再度採卵に臨みました。30代後半であり、今回ダメだったらまだ続けるかどうかなど夫の意見も聞き、よく考えてみようという思いもありました。無事に移植までできましたが、判定の日はやはり落ち着かず、着床したことを伝えられても人生で初めてのことで、すぐには実感がわかず夢じゃないかなと不思議な感じで帰宅しました。その後、順調に育ってくれて、セント・ルカを卒業し、昨年夏には元気な第1子が産まれました。結婚して9年かかりましたが、自分たちにとっては、ベストのタイミングだったんだろうと思っています。子どもに会えたのは、協力し支えてくれた家族・職場はもちろんのこと、セント・ルカの院長先生をはじめ、先生方、看護師さん、培養士さんなど沢山の方々のおかげだと心より感謝しています。

 よく言われるように、妊娠・出産がゴールではなく、子育てが始まります。自分としては、治療中、正直つらいと感じたことは1度や2度ではありませんでした。他の人と比べて落ち込むことも多々ありましたが、子どもが産まれてきてくれた時には、不思議とすべて良い経験をさせてもらったなと思うことができました。

 最後に、自分の経験から、不妊治療を始めるにあたって大切だと思うことについてお話しします。まず、不妊症やその治療について、夫婦で知ること・学ぶことです。治療を始めてすぐに授かる場合もあれば、続けたからと絶対に授かるというものでもありません。費用負担もありますし、年齢的な制限もあります。金銭的なことも含め、夫婦で決断しなければならないことも出てきます。その為にも、日々夫婦で向き合う時間を持ち、納得した上で進めていくことが大切です。私の場合、治療をすることを決めた後、職場でオープンにすることは、なかなかできませんでした。急に休みを取ったり、遅刻・早退などが必要になることもあるので、職場に事前に伝えておくことができるとよいと思います。そして、何より健康であることです。私は元々体力もなく、疲れやすく食事面もあまり自慢できるものではありませんでした。治療中に限らず、妊娠した場合に備えても自身の健康について振り返り、必要な部分については早めに改善するとよいと思います。そして、治療中つらい時や落ち込んだ時に吐き出せる相手がいること、がんばっている自分をほめること、息抜きの時間を持つこともぜひ大切にしてほしいと思います。

 拙い話でしたが、以上で終わります。ありがとうございました。


セント・ルカ産婦人科セント・ルカ産婦人科

〒870-0823
大分県大分市東大道1-4-5
[大分駅上野の森口より徒歩2分]
TEL 097-547-1234
FAX 097-547-1221