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セント・ルカ産婦人科では不妊治療と一般婦人科疾患(お産以外の女性疾患)の診療を行っています。

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プレコンセプション・妊活セミナー 卒業生のお話

<2024年8月31日開催>

 私は、2019年に結婚して、夫婦ともに大きな病気にかかったことがないため、自然なタイミングで妊娠できるだろうと思っていました。しかし、1年経っても子どもができませんでした。そのため、2020年から婦人科Aクリニックに通い始めました。そこでは、タイミング療法を1年ほど行いましたが妊娠することはできませんでした。もっと大きな病院に変えたほうが詳しい検査などしてくれると思い、B病院に2021年から通い始めました。B病院では、血液検査やエコーなど検査をしましたが特に異常はなかったため、ホルモン補充をしながらのタイミング療法を始めました。1年ほど行いましたが妊娠することができないため、夫婦で話し合い専門性が高いセントルカに通ってみようと決め、2022年にセントルカに通い始めました。セントルカでも血液検査、子宮の造影検査などを行い多嚢胞性卵巣症候群と診断されました。それから、排卵誘発剤を使用してのタイミング療法をはじめましたが妊娠することができなかったため医師から腹腔鏡下での手術を勧められました。その年の夏に手術をすることになりましたがコロナに感染してしまい手術は延期となってしまいました。なぜ、このタイミングで罹ってしまったのかと悔やむ気持ちと早く子どもを授かりたいという焦る気持ちでいっぱいでした。そして、10月にようやく手術を受けることができました。手術では、子宮内膜症と軽度のチョコレート嚢胞もあったということもあり、手術前には手術に対して後ろ向きな気持ちでしたが結果的には血液検査や造影検査ではわからなかった病変がわかり、治療することができて良かったと感じました。その後も妊娠することができなかったため体外受精を行うことを決め、2回目の移植で妊娠することができました。

 ここでは、私が不妊治療を行うにあたって悩んだこととそれをどう乗り越えていったかお話したいと思います。

 まず、1つ目に悩んだことは、仕事との両立です。当時、常勤として働き夜勤もしながら病院に通っていました。タイミング療法をしていた時は、先生と受診日を相談して病院に通っていました。病院の休診日と仕事の休みが一緒だということも多くあり、休み以外で受診しなければならず夜勤に行く前や夜勤明けに受診することが多くありました。しかし、そのように休み以外に受診し、一生懸命に通院しても妊娠できませんでした。受診することが体力的にも精神的にも辛くなってきたため夫婦で話し合い、年末までに妊娠できなかったら仕事の働き方を考え、体外受精にステップアップしようと決めました。結局、妊娠できず体外受精をすることになりました。体外受精に進むと以前より病院の受診の日が多くあり、急に受診日を決めないといけないため働き方を変える必要がありました。働き方を変える上で職場の人がそれを理解してくれるのかという不安がありました。実際に、上司に相談したところ夜勤をやめて常勤をパートに変更して働くのはどうかと言われ、パートとして働き続けることにしました。もし、働き方を変えることができなかった場合、退職しようと決めていたため、パートとして働くことで結果的に仕事をしながら治療を続けることができました。このことがきっかけで、職場の人に不妊治療をしていることを理解してもらえ応援してくれる人もいました。治療していることを打ち明けるまでは、仕事を休めないといったストレスを抱えていましたが、職場の人に理解してもらったことで治療のため病院にいくことに対して心が軽くなりました。早めに帰らせてもらったり、休みをもらったりしたことに対して嫌な顔せずに送り出してもらったことは本当にありがたいことでした。妊娠を報告したときは、泣いて喜んでくれる人もいて仕事をあきらめず治療できてよかったと思います。不妊治療をする方々みなさん悩むことだと思います。治療することもお金がかかり仕事をやめられないのも実情だと思います。しかし、治療がなかなか思うようにいかない場合、退職することだけでなく働き方を相談するのも1つの方法だと身をもって感じました。また、仕事と治療の比重を自分の体調と相談しながら変えていくことが大切だと感じました。

 次に2つ目は、多嚢胞性卵巣症候群と診断されたことです。それまで大きな病気をしたことがなかったためそのように診断されとてもショックでした。診断されその病気を調べてみると糖尿病関連から多嚢胞性卵巣症候群になる可能性があるということでした。治療を進めていくにあたり、糖負荷検査という血糖をはかる検査がありました。その時私は、糖尿病ではありませんでしたが検査をするとインスリンの効きがあまりよくないことがわかりました。その時、医師からこの先10年後に糖尿病になる可能性が高いため気を付けるほうが良いと言われました。確かに、よく考えてみると私の生活は朝ご飯を抜きがちで、炭水化物や甘いものを多くとるような生活でした。また、仕事から帰宅し、一度休憩しないと家事ができない疲れやすい体でした。そして、この検査をきっかけに体質改善を始めました。具体的には、週に3回運動し、1日3食食べることから始めました。また、食事をとる時にはバランスよい食事を心がけ、野菜から食べるようにしたり甘いものを多くとらないようにしたり血糖を急激に上げないように心がけました。そして、体外受精にすすみ移植2回目で妊娠することができました。この体質改善のおかげか、妊娠中の糖負荷検査は正常値で、トラブルなく妊娠生活を送ることができました。以前から感じていた疲れやすさは体質改善していくとともになくなり、風邪もひきにくくなり免疫力アップにつながったのではないかと思います。結果的に、妊娠中や授乳中は食事制限があったので治療中に食事を見直すことができてよかったと思いました。

 次に3つ目は、SNSの情報に振り回されたことです。結婚して妊娠まで4年かかりました。妊活中、うまくいかないと検索魔になりネットで不妊の原因やどうやったら妊娠しやすいかなど調べることがよくありました。また、そのように検索していると自然と不妊に関することがスマホ上に表示され、ついつい見てしまうという毎日でした。例えば、私がネットで目にしたことは添加物をとらないほうがいいことや肉より魚をとったほうが妊娠しやすい、小麦はとらないほうが良いといった食事に関することでした。できる限り妊娠しやすい体を作りたいと思い実践するとストレスが溜まる一方でした。あれを食べたらだめ、これを食べたらだめと制限しすぎてしまい気づけば食べるものが限られ好きなものまで制限してしまっていました。これに加え、妊娠できなかったとわかると頑張ったのにとさらに落ち込む一方でした。そんな時、セントルカの先生がビデオで言っていた「夫婦で旅行や趣味などを楽しむことが大切」という言葉を思い出しました。その時の自分は、妊娠することで頭がいっぱいになり夫との生活を楽しく過ごせるようにすることを忘れていました。それから、自分の心と体に向き合い生活するよう心がけていきました。体に良くないとされるものは完全に避けるのではなく量や頻度を減らし、仕事で体が疲れているときは夫と外食をして楽しみ、コンビニや総菜を利用したりなどしてできるだけ体を休めることを優先するようにしました。SNSの情報をすべて鵜呑みにし、すべて取り入れようとせず、自分の心と体と向き合いどのように生活していくことが夫婦にとって楽しんで生活することに繋がるのか考えることが大切だと感じました。これは、不妊治療だけでなく、妊娠中や育児にもつながっています。

 最後に、私の出産は分娩時間32時間と長時間におよび赤ちゃんも心音が下がるといった大変なお産でした。陣痛中も赤ちゃんの様子が気になり、赤ちゃんが出てくる直前にも心音が下がりと気が抜けないお産となりました。そんな中、不安でいっぱいでしたが、体外受精で採卵しとれた18個の卵の中の1つが着床しここまで来ることができたから絶対に大丈夫と赤ちゃんを信じることができました。赤ちゃんを信じることができたのは長年にわたる不妊治療を頑張ってきたからだと思います。おかげで帝王切開にならず出産することができました。治療中は、友達の妊娠を素直に喜べなかったり、周囲の人が言った一言に傷ついたりと辛いことも多くありました。また、仕事との両立、夫婦の関係や自分の体のことで悩み辛いこともあり涙を流したことも沢山ありました。しかし、今となってはこうして妊娠に至るまでの出来事や辛い経験は私にとってかけがえのない大切な経験だったと思います。不妊治療をする多くの人が、金銭面、仕事との両立や自分の体に向き合うことに悩むと思います。沢山悩んだり、涙を流したりすることも多くあると思います。私が本当に辛かった時、先輩が「私におこることすべては最善」というメッセージをくれました。一見辛いような出来事も、結果的にはこのタイミングでよかったと思える日が来るということでした。出産した今では、友達も同じ時期に出産し、友達と育児休暇を楽しんでいます。不妊である期間は長かったですが、このタイミングで出産できてよかったなと思っています。不妊治療は孤独で辛いことも多くあると思います。その時には、1人で抱え込まず時には愚痴をこぼしたり周りに相談をしたり沢山の人に頼ることが大切だと思います。また、夫婦で旅行をしたりおいしいものを食べたり今だけの2人の生活を楽しんでいくことが大切だと思います。皆さんが笑顔で赤ちゃんを迎える日がくることをこころからお祈りしています。そして、この場をお借りしてセントルカの院長をはじめとする先生方やスタッフの皆様に感謝申し上げます。つたない話でしたが、ご清聴ありがとうございました。


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