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セント・ルカ産婦人科では不妊治療と一般婦人科疾患(お産以外の女性疾患)の診療を行っています。

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赤ちゃん〜今ならきっと授かる〜講座 卒業生のお話

<2023年11月18日開催>

こんにちは。本日は、セント・ルカ卒業生として私の経験をお話しさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

今日は主に4点、お話ししたいと思っています。

@まず、私がどのような経過をたどって妊娠、出産までたどりついたか
A不妊治療をするにあたり、振り返って必要だと思うこと
B今振り返って、もっとこうしておけばよかったなと思うこと
C夫目線からのコメントです。どうぞ気軽に聞いてください。

まず私がたどってきた経過です。
私は、35歳で結婚しました。子供が欲しかったこともありすぐに妊活を始めましたが、授かれず。年齢的にも早めに病院への通院も検討しましたが、時は新型コロナ真っ只中。
別の病院で不妊治療をしていた知人から、「新型コロナの影響で治療が進まない」という話を聞き、「それなら受診しても無駄かな」と自然に子供ができるのを待つことにしました。というのも、これまで生理は周期的に来ていたし、生理痛などもほぼなく、きっとできるんじゃない?という期待がありました。そんなこんなで37歳が近づき、新型コロナも全く収束する気配もなく、どんどん忙しくなる仕事との間で「このままでは子供を持つ機会を逃してしまう!」と感じ、セント・ルカへの受診を決めました。
受診して卵管造影やエコー検査など一般的なスクリーニングを夫とともに受けました。見つかったのは経腟エコーで卵巣にたくさん卵が残っている所見でした。多嚢胞性卵巣症候群だろうと告げられました。基本的に自分が楽観的な性格なので、そりゃ〜排卵していないなら妊娠しないわな、くらいにしか感じませんでした。
まずはタイミング法を何度か試しました。タイミング法のもっとも大変なことは、ともに仕事を持つ夫婦の時間を合わせることでした。飲み会などの予定は入れなかったりできますが、仕事の忙しさを調整することはできず疲れ切ってしまってどうにもならないということもありました。不妊治療は、女性はもちろん大変だけれども、男性側も精神的にも肉体的にも大変だなとつくづく感じました。
途中で人工授精も試しましたがダメでした。3回のタイミング法と1回の人工授精を試した後で、多嚢胞性卵巣症候群に対し腹腔鏡で治療を行うか、体外受精・胚移植にするかを選択する状況になりました。私は迷うことなく体外受精・胚移植をすることを選択し、その決断に夫も賛成してくれました。ただ、毎日の自己注射や採卵などは、私が思っていたよりも大変でした。私は医療者なので毎日自分で自己注射をし、 今日は痛かったなとか、今日はうまくいったとか思いながらしました。
卵が育つと採卵をしました。同じように体外受精のための採卵を経験した友人はそこまで痛くなかったと言っていましたが、確かに痛みはそこまでではなかったのですが、翌日、かなり体のだるさがありました。やはり処置に伴う症状は個人差が大きいのだと実感し、体験してみないとわからないことも多いなと思いました。ありがたいことに私の場合は1回目の胚移植でうまくいき、無事に出産することができました。

 ここで2番目に振り返って必要だと思うことについてですが、「正しい知識をきちんと勉強しておくこと」だと思います。他の病院に行ってないので他はわかりませんが、セント・ルカに通院し始めた当初、勉強用の冊子があったり、動画で勉強したり試験があったり、「病院に通院するだけなのに、どうしてこんなことをするの?」という気持ちもありました。しかし、治療が進むにあたり『正しい知識を理解しておくこと』の重要性をひしひしと感じました。というのも、不妊治療はある程度どうするかという選択を、基本的には夫婦二人で選択する必要があると思うからです。私たちで言えば、タイミング法でうまくいかなかった際に腹腔鏡での治療をするか、体外受精・胚移植をするかが一番大きな選択だったと思います。どちらもメリット・デメリットもありますし、金銭的な負担や精神的な負担も違います。
体外受精をする場合、先に述べたように毎日注射をしたり、定期的に診察を受けたりと必要なことも多く、仕事の調整も結構大変でした。それらを全てひっくるめて、自分たち夫婦にとってどちらの選択がよさそうかという判断をする必要がありました。 その判断をするためには、夫婦がともに『正しい知識』を認識し冷静に判断できることが本当に大切だなと思います。これから治療に進む皆さんも勉強はかなり大変かと思いますし、治療が進めば知っておいた方がよいことも多くなっていくと思います。あくまで重要なのは正しい情報ですが、その情報を基に、自分たちの生活や夫婦それぞれの性格なども加味した上で色々な決断をしていくのがいいのかなと思います。

 3番目に振り返ってやっておけばよかったことは、夫婦二人の時間をもっと楽しめたらよかったということです。私たちの頃は新型コロナ感染症がまだ2類相当で、県外移動も自粛という期間でした。夫婦ともに飲食が好きだけど外食もままならず、旅行などなおのことできませんでした。不妊治療は、楽観的な性格の私も精神的に不安定になったりすることも多く、夫も大変だったと思います。仕事以外は気が付けば頭の中は不妊治療のことばかりでした。職場の研修で自己紹介をする時、趣味は?と問われ、最近不妊治療のことしか考えていない自分に唖然としました。
そのあと、妊娠・出産となり子供が誕生すると、全く自分の時間はおろか夫婦二人の時間なんて取りようもありません。それに、不妊治療は夫婦どちらにとっても大変で、時には二人の関係が険悪になることもあると思います。少しでも可能であれば夫婦二人で楽しめる時間を持ち、お互いの気持ちをもっと話せる時間をもっておければよかったなと今感じています。

 最後に今回このお話をさせていただくにあたり、夫にも不妊治療中のことを振り返ってもらいました。夫からのコメントです。
『頑張っても頑張っても生理が来て妊娠していないと分かった時は、とても悲しい気持ちになりました。もう子供はできないのかなと思うこともありました。でも、受精卵が着床していると分かった時は、忘れられないくらいうれしい気持ちになりました。不妊治療中に夫婦二人でともに悲しんだり、喜んだり感情を共有できることは大事なことだったと思います。男性はなかなか女性のような大きな負担を担うことはできませんが、必要な時にそばにいて力になれるように気を配ることが大切なのかなと思います。』
とのことです。

 長くなりましたが、以上でお伝えすることはすべてです。ここにいる皆様に納得のいく未来が待っていることを切に願っております。ご清聴ありがとうございました。


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