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<2026年8月29日開催>
不妊治療というトンネルを歩んで
1.はじめに:出会いとスタート
本日はお時間をいただきありがとうございます。今、このクリニックで治療を頑張っていらっしゃる皆さんと同じように、私もかつてこの場所で不安を抱えながら通院していました。
そもそも私が不妊治療を意識し始めたきっかけは、先輩から聞いた一つの話でした。
その先輩は8年間の治療を経て、数十回目の体外受精でようやく赤ちゃんを授かったそうです。当時はまだ保険適応ではなくすべて実費で、総額はとんでもない金額になったとのことでした。資金を作るために治療を休んでダブルワークをしたり、旦那さんに遠慮があって金銭面の相談がなかなかできなかったりと、たくさんのロスタイムがあったそうです。
2.検査から手術、そして見えないゴールへの焦り
2021年に初めてこの病院を受診しました。私はもともと注射が本当に大嫌いで、初めのうちはさまざまな検査のために何度も採血され、それだけでヘトヘトになってしまったのを覚えています。
その検査結果を元に先生の指示に従い、まずタイミング法からスタートしました。しかし、夫の帰宅が21時や22時と遅く、「まだ帰ってこないのか」というイライラと、日々の疲れが先に来てしまい、タイミング法はなかなかうまくいきませんでした。
さらに、夫の精液検査の結果から「一度、連携の必尿器科を受診してみてはどうか」と提案されました。夫はとても協力的で、仕事が忙しい中でも病院に通い、投薬やサプリ、さらにはホルモン自己注射など、自分ができる限りのことを精一杯やってくれました。
しかし、医師から提案されたことは夫婦ですべて試しているにもかかわらず、結果がまったくついてこないのです。
毎回、診察室で結果を聞くのが本当につらくていやになりました。「いつまでこの治療を続けるんだろう」「終わりが見えない」「もういっそ辞めたい」「子どもを諦めて、夫と2人でもいいんじゃないか」
―そんなネガティプな思いが、頭の中を何度もグルグルと駆け巡りました。
3.「区切り」と「心を守るリフレッシュ」
このままでは心が壊れてしまうと感じ、夫婦でしっかりと話し合いました。そして、「保険適応の6回」を自分たちの1つの区切りにしようと決めました。
結果がダメだったときは、夫婦で温泉宿に出かけてのんびり過ごしたり、おいしいものをたくさん食べたりして、「さあ、また明日から挑戦だ!」と気持ちを切り替えるようにしました。
時には、自分の地元に帰って久しぶりに友達と会って思い切りおしゃべりをしたり、買い物を楽しんだりして、あえて「妊活」から離れる時間を大切にしました。夫にとっても、仕事はあるものの、時間を気にせず自由に過ごせる時間ができたことは、お互いにとって良いリフレッシュになり、心の余裕につながったと思います。
4.体外受精の壁と、夫に救われた瞬間
そして2022年5月、初めての体外受精に挑みました。
移植日までの約2週間、毎日続く注射は本当に痛くてつらかった。「どうして私ばかりがこんな思いをしなければいけないんだろう」と、何度も心が折れそうになりました。
迎えた採卵当日は、朝からドキドキが止まりませんでした。私の中で「まずは点滴の針さえクリアすれば、後は麻酔で寝ている間に終わるんだ」と自分に必死に言い聞かせました。そして、採卵から移植日までの間、「今、何個の卵が育っているんだろう」と毎日不安と期待が入り交じっていました。
結果は1個から2個。「これだけ頑張ったのに、どうして私は少ないんだろう」と、SNSで見かけるような「10個採れた」という声と比較してしまい、もどかしさがありました。
でも、「無事に移植できるだけでも奇跡なんだ、ラッキーなんだ」と自分を納得させるようにしました。
そして迎えた判定日。結果は「陰性」でした。
「ああ••・・・・」としか言葉が出ない。これだけ努力しても報われない悔しさが込み上げてきました。でも、私は人前で泣いたり悲しんだりしたくなかった。ここで泣いたら自分に負けたようで悔しかったからです。
病院を出て、車の中で夫に電話をかけました。「お疲れさま」と夫が声をかけてくれたその瞬間、それまで必死にこらえていた感情の糸がプツッと切れ、涙が止まらなくなりました。
必死に堪えてきた感情が、そのたった一言で救われたのです。このとき、「不妊治療は一人じゃない、必ずパートナーがいて、二人三脚で進むものなんだ」と深く実感しました。
5.奇跡の陽性と、夫婦の絆
その後も継続して体外受精に挑みましたが採卵まで出来ても移植できる卵は0個の時も経験し、結果は出ず、保険適応の6回という期限が刻一刻と迫っていました。
今後への不安に押しつぶされそうになっていたとき、親友から「推しのライブに行こう!」とお誘いを受けました。その日は一切治療のことを忘れて、思い切り盛り上がって発散しました。さらにその後、夫婦でずっと行きたいねと話していた京都への旅行にも行くことができました。
たくさん楽しい時間を過ごし、ステキな思い出をたくさん作れたことで、「またここから頑張ろう!」と心から活力が湧いてきました。
こうして気持ちを完全にリセットして臨んだ、4回目の体外受精。採卵当日は、1回で点滴の針が入りました。卵も7個採れて今までで一番良い結果となり、移植可能な卵も2個確保することができました。
そして迎えた判定日一「陽性」でした!
「やった、嬉しい!」この病院で自分が心から笑える日が来るなんて、本当に夢のようでした。
夫にもすぐに電話しました。普段は寡黙な夫が、電話口で本当に喜んでくれている声を聞いたときは、言葉にできないほど嬉しかったです。
それからは授かった小さな命と共に、夫も今まで以上に優しくしてくれ、仕事の帰宅時間も少し早めてくれるなど、夫婦で協力し合いながら無事に出産までを経験することができました。
6.おわりに:未来へ向かう皆さんへ
長々とお話ししてしまいましたが、不妊治療は本当にゴールが見えません。まるで、暗いトンネルの中にポソンと一人で置いて行かれたような感覚になります。
でも、そこに小さな光を照らしてくれて、「一緒に出口を探そう」と支えてくれるパートナーがいます。
そして、時にはふと立ち止まって、自分の好きなことややりたいことをして思い切り気分転換をする。
そうしてまた、ゴールを目指して自分のペースで歩き出す。私にとって不妊治療は、そんな道のりだったなど今では振り返ることができます。
女性は、仕事やプライベートなど、さまざまな場面で制約や拘束を受けやすく、どうしても身体的・精神的な負担が大きくなりがちです。
だからこそ、男性のパートナーの皆さんには、どうか女性をたくさんねぎらい、愚痴やわがままを大きな器で受け止めてあげてほしいなと思います。そして、「自分にもできることがあるのではないか」と自ら模索し、一緒に協力して歩んでくれたら、夫婦の絆はより一層深いものになります。
長い道のりでしたが、私にとってはすべてに意味があったと思える、大切な時間でした。今ではいい思い出です。
どうか今日この場所にいらしたご自身を、たくさん、たくさん褒めてあげてください。そして、ご自身のペースで、時には立ち止まりながら、大切なパートナーと一緒に一歩一歩進んでいってください
本日は、最後までお聴きいただき本当にありがとうございました。
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